こんにちは、今週は「誠意は伝わる」ですが、最近の企業の責任問題で大きく問題になったことに松下電器の1985年から1992年製のナショナルFF式石油温風機及び石油フラットラジアントヒーターの事故が上げられると思います。松下電器はオリンピックの直前までCMをひたすら自粛し、ヒーターを回収させてくださいとの誠意を持ったCMはBGMもなく、ストーリ性もないシンプルなもので非常に古臭いCMだったが記憶に残るものでした。
10日間に9百回近いCMを流し、全戸にストーブ回収のハガキを送るとなると会社にとって相当な打撃になるだろうなと思っていましたが、実は決算は好調と、ビックリいたしました。
なぜだろうと考えてみたところ、過去にアメリカでジョンソン&ジョンソンがタイレノールで同じような行動とったことと似ていると思いました。
危機管理どこの企業でも、家庭でも、個人でも必要な知識です。
ぜひ、実際の企業の行動から「誠意の伝え方」を学んで行きましょう。

ネットワークリスクマネジメント協会より
<第 2 回> 過去の危機管理事例の教訓 竹内 秀夫
第 1 回で紹介したとおり、現在日本では企業や自治体の危機対応能力の低さが指摘されている。今回は今や危機管理の古典ともなった事例を紹介し、その中でTOP の行動によって、当該組織を取り巻く環境がどのように変化したかについて説明する。
毒物混入や異物混入の危機管理の古典である「タイレノール事故」である。
【タイレノール事件が教えてくれる「徹底して守るべきものとは?」】
世界で最初に危機管理の概念を語られる事案として最も有名な事件である。1982 年にジョンソン&ジョンソン社の主力頭痛薬「タイレノール」に何者かが毒物を混入し、複数の店舗で販売された同製品を服用した消費者 7 名が死亡した。当時はまだ危機管理などという手法はない時代であったが、模範的対応として評価されている。
(対応 1)TOP が全責任をとること、守るべき方針を示し、徹底したこと。
■■■■■会長自らが最高責任を取ることを明言し、方針を即座に示した。
■■■■■その方針とは「これ以上の被害者を出さない」というものであった。
■■■■■毒物混入ルートの解明よりも優先してそれをおこなったのである。
(対応 2)製品のすべてを回収した!
■■■■■上記方針に従い、タイレノールの使用禁止・回収の協力依頼、自社工
■■■■■場で毒物と同じ化合物を使用している事実をテレビで、会長自らが訴
■■■■■え掛けたのだ。
■■■■■「タイレノールは絶対に飲まない・買わないでください。」と…
■■■■■すぐにすべての製品が回収・廃棄された。
(対応 3)早期製品改良による完全復活
■■■■■外部犯罪の可能性が高いことが判明した後は、流通段階で異物混入が
■■■■■出来ない
三重包装を 2 週間で開発し、全製品に適用した。その結果、完全復活を果たすことができたのである。回収・広報対応にかけた当時のコスト 1 億ドルは、結果的に消費者の絶大な信頼の獲得となり、その後の掲社の発展を支えたことは言うまでもない。
大手食品企業がおこした大規模食中毒事件、狂牛病対策として政府がとった初期対応には、残念ながら、先のような方針や徹底した事後対応といった精神はなかったのではなかろうか?
もし、大手食品企業がすべての商品を自ら「食べないでください」「全部回収します」と宣言していたら、政府が狂牛病対策として国内牛の全製品の回収を行っていたら、今頃どんな結果になっていたであろうか?
2000 年の夏に日本で発生した目薬への毒物混入脅迫事件は、このタイレノール事件を参考に危機管理が行われた。全製品の回収、混入が出来ない容器への切り替えなど、非常に素早い対応であった。
タイレノール事件で特筆すべきは、以下の 3 点を最後まで徹底して行ったことである。
(1) TOPが最高責任者として、消費者・社員・取引先に直接すべての情報をオープンにしたこと。
(2) そして 1 時間以内に緊急対応チームを結成し、情報の一元化と権限の一元化を図ったこと。
(3) 取り組み方針が一貫しており、製薬メーカーとして最も大切な「人の生命を守る」ことにフォーカスし、
それを最優先させたこと。
このように、いかに TOP の果たす役割が大きいか、過去の事例を検証することを通じて、理解頂けたのではないか。
現在では、企業や自治体を取り巻くリスクは広範囲におよんでおり、TOP が明確な方針を出すことや最高責任者が行動するだけでは解決しない問題も山積している。
TOP には、いかに組織の方針(守らなければならないこと)をすべての構成員に理解させ、信念として定着させ、実際の予防活動・事故発生時の対応に活かせるような教育や組織作りも大きな役割の一つとされている。危機管理の手法も確立されて来ており、TOP の方々並びに TOP を支える方々には、自らの責任でリスクに積極的に対応する組織作りを目指して頂きたいと考える。